遺言書作成

遺言書の必要性

遺言書は特別な人だけが作るものではありません。

日本公証人連合会の統計によると、公正証書遺言作成件数は、平成元年は約41,000件、平成10年は約55,000件、平成20年は約76,000件、平成23年は約79,000件となっています。平成元年から比べると2倍近くになっています。

権利意識の高まり

以前は家督相続の名残で、遺産は長男が取得することが慣用でありました。今は兄弟姉妹の権利は平等です。そのためそれぞれが権利を主張することが多くなっています。
ただ、介護など目に見えない部分の貢献をした人もすべて平等になるなど、法定相続分で分けることが逆に不平等になることもあります。
民法で決まった相続分を是正するものが遺言書です。財産を残す人の最後の意思表示ですので、きちんと遺していくことが必要です。

遺言書を書くためには

遺言書をいきなり書いてと言われてもすぐには書くことができません。遺言書を書くためにまず押さえておきたい3つのポイントがあります。

  1. 相続人の確認   「ヒト」
  2. 相続財産の確認  「モノ」
  3. 想いを整理    「キモチ」

まず、ご自分の相続人に誰がなるのかの「ヒト」の確認が必要です。その次にご自分の財産に何があるのかをまとめます。不動産や通帳のある預金などはすぐに分かりますが、生命保険や定期預金などは証券がないと後々発見されないこともありますので、簡単な財産目録を作っておきましょう。そして最後にご自分の思いを整理しましょう。財産の分け方の理由や次の世代にどのように使ってほしいかなど「キモチ」を整理して書き出しましょう。

遺言書を書いていても揉めてしまう例

せっかく遺言書を書いても、相続が発生した時に相続人間で揉めてしまうこともあります。多いケースが以下の例です。

  1. 公平性・納得感がない
  2. 財産の記載漏れ、記載ミス
  3. 自筆証書遺言の要件不備

遺言書は書いた後も、「内容は相続人が納得できるものか?」「気持ちが伝わるものになっているか?」などきちんと中身を確認しましょう。

遺留分とは

一定の範囲の相続人に保障された相続財産のうちの一定の割合
被相続人の贈与や遺贈によって奪われることにないもの

遺留分の割合

配偶者と子ども     配偶者4分の1 子ども4分の1
配偶者と父母、祖父母  配偶者6分の2 父母、祖父母6分の1
配偶者と兄弟姉妹    配偶者8分の3 兄弟姉妹なし

遺言書を書くときは、内容が遺留分を侵害していないかどうかも考慮しましょう。

自筆証書遺言と公正証書遺言の比較
  自筆証書遺言 公正証書遺言
費用 かからない 公証役場の費用がかかる
検認手続き 必要 不要
内容 記載ミスなどが生じやすい 公証役場のチェックが入る
信憑性 疑われるケースがある 公証人と証人2人がつくので安心

遺言書をお勧めするケース

結婚して配偶者はいるが、子どもがいない場合
両親が亡くなっている場合、法定相続人は兄弟姉妹・兄弟姉妹が亡くなっていると甥姪に移ることになります。永年連れ添った配偶者に財産のすべてを贈りたいという場合は遺言書が必要です。
相続させたくない人がいる場合
特定の子どもにだけ財産を渡したくない場合、遺言を書いておけば、遺産分割協議が必要なくなりスムーズに財産承継ができます。
相続人になる人がひとりもいない場合
相続人がいない場合には、遺産は国のものになります(特別縁故者は手続きをして遺産を譲り受けることができます)。生前対策として遺言を書いておけば、生前に仲の良かった人や、お世話になった人に遺産を遺贈することができます。
お世話になった人に財産を贈りたい場合 
生前お世話になった友人、恩人などに感謝の気持ちで報いたい時などは遺言書が必要です。
先妻の子どもと後妻がいる場合
生前対策として遺言を書いておけば、遺産分割協議をする必要もなく、残された後妻に現在の住居を相続させることや、特定の子どもにより多くの遺産を相続させることもできます。
個人企業や農業を営んでいる場合
個人で事業をしている場合、その営業上の財産は法律上も個人の財産です。したがって、死亡すれば相続の対象になります。営業上の財産が法定相続分により細分化し事業継続が不可能な事態にるおそれがあります。そのような事態に備えて、後継者に事業上の財産を相続させる旨の遺言書が必要になります。
法定相続分と異なる財産の配分を行いたい場合 
永年連れ添った配偶者へより厚くしたり、子どもの経済状態、能力差、性格、年令などに応じた配分を考慮することは、法定相続の不合理性を是正し、財産を真に活かすことであり、充分に対策を考えるべきことでしょう。
子どもが介護、援助をうけている場合
遺言書がなければ障がいのある子どもと障害のない子どもは同じ相続分となります。生前対策として遺言を書いておけば、障がいのある子どもに対して多めの財産を相続させることができます。